誰にも聞けないデリケートゾーンの正しいお手入れと痒み対策

デリケートゾーンの痒みは、人に相談しづらく、一人で悩みがちな症状です。原因はさまざまで、セルフケアで改善する場合もあれば、治療が必要なこともあります。
この記事では、主な原因と自宅でできる対処法、受診の目安について解説します。

なぜ痒い? デリケートゾーンに潜む3つの原因

デリケートゾーンの痒みには主に3つの原因があります。まずは、受診が必要なケースからご紹介します。

1.感染症によるもの

痒みの原因として多いのが、細菌・真菌・原虫などによる感染症です。受診が必要なケースもあるため注意が必要です。

カンジダ膣炎 1)

  • 強い痒みと白いカッテージチーズ状のおりものが特徴
  • 免疫力の低下時や抗生物質使用後に発症しやすい

細菌性膣症 2)

  • 生臭いおりものや痒みが伴う
  • 悪化すると下腹部痛、不正出血を起こすことも

トリコモナス膣炎 3)

  • トリコモナス原虫が原因
  • 泡状の悪臭のするおりものと強い痒みが特徴

性感染症(STD)4)

  • 性器ヘルペスや淋病、梅毒、クラミジア、尖圭コンジローマなどが原因
  • これらの感染症は、他の症状を伴うことも多いため注意が必要

2.接触性皮膚炎(かぶれ)

下着やナプキン、石鹸などの刺激で肌がかぶれ、赤みや痒み、湿疹が出ることがあります。きつい下着やタイトな服装による摩擦やムレも原因になります。

3.乾燥・摩擦・ムレ

デリケートゾーンは皮膚が薄く乾燥しやすいため、バリア機能が低下すると刺激に敏感になります。洗いすぎや乾燥した空気、ホルモンバランスの変化も痒みを引き起こす要因です。

デリケートゾーンの痒みをやわらげるセルフケア方法

痒みを感じたときは、まずは自宅でできるセルフケアを試してみましょう。
以下のポイントを意識することで、症状の緩和が期待できます。

1.やさしく洗い清潔を保つ

デリケートゾーンは、専用の弱酸性ソープを使って優しく洗浄しましょう。強くこすらず、指の腹で丁寧に洗うのがポイントです。洗ったあとは、清潔なタオルでポンポンと軽く押さえるように水分を拭き取りましょう。洗いすぎはかえって乾燥を招くため、1日1回程度を目安にしてください。

2.通気性の良い服装を選ぶ

ムレを防ぐためには、通気性・吸湿性に優れた綿素材の下着を選び、締め付けの少ない服装を心がけましょう。生理中はナプキンをこまめに交換し、長時間の使用は避けてください。おりものシートも同様に、清潔を保つために頻繁に交換することが大切です。

3.保湿でバリア機能をサポート

乾燥が痒みの原因になっている場合は、デリケートゾーン専用の保湿クリームやジェルを使用して、肌のうるおいを守りましょう。入浴後など、肌が清潔で柔らかい状態のときに塗るとより効果的です。

4.掻かずに冷やすなどで対応を

痒みを感じて掻いてしまうと、炎症を起こしたり、色素沈着や感染のリスクが高まったりする恐れがあります。我慢が難しい場合は、冷たいタオルなどで患部を軽く冷やすと、痒みをやわらげる効果があります。一時的な症状には、市販のデリケートゾーン専用薬が役立つこともありますが、数日使っても改善が見られない場合は、すぐに使用を中止し、専門医の診察を受けましょう。

デリケートゾーンの痒みは何科を受診すべき?

デリケートゾーンの痒みで受診する場合は、婦人科または皮膚科が一般的です。どちらに行くか迷うときは、まず婦人科を受診し、必要に応じて皮膚科を紹介してもらうとよいでしょう。セルフケアを数日試しても改善しない、あるいは以下のような症状がある場合は、自己判断せず早めに医師に相談してください。

  • おりものの量・色・においに異常がある
  • 外陰部に赤み、腫れ、ただれ、水ぶくれなどがある
  • 排尿時や性交時に痛みがある
  • 発熱や腹痛などの全身症状がある
  • 夜も眠れないほど痒い

まとめ

デリケートゾーンの痒みは、誰もが経験しうる症状であり、決して恥ずかしいことではありません。セルフケアで対応できることもありますが、症状が続く場合や他の症状を伴う場合は、必ず専門医に相談してください。

監修

丹羽 咲江 先⽣

丹羽咲江 先生
咲江レディスクリニック 院長

参考文献

1) 日本産婦人科学会.“カンジダ外陰膣炎の診断と治療は?”.産婦人科診療ガイドライン‐婦人科外来編2023.2023. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf ,(参照2025-06-02)

2) 日本産婦人科学会.“細菌性膣症の診断と治療は?”.産婦人科診療ガイドライン‐婦人科外来編2023.2023. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf,(参照2025-06-02)

3) 日本性感染症学会.“膣トリコモナス症”.膣トリコモナス症-日性感染症会誌Vol.19,No.1Suppl.2008.2008. https://jssti.jp/pdf/guideline2008/02-7.pdf,(参照2025-06-02)

4) 厚生労働省.“性感染症とは”.性感染症.2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/,(参照2025-06-02)

執筆

看護師 河野奈美さん