VIO脱毛は、自己処理の手間が省け、快適に過ごしやすくなることから人気の高い美容ケアです。しかし施術後のアフターケアを怠ると、乾燥や黒ずみ、毛嚢炎といった肌トラブルにつながり、脱毛したことを後悔してしまうことがあります。
この記事では、VIO脱毛後に起こりやすい肌トラブルとその原因、さらに健やかな肌を保つための保湿ケアのポイントや黒ずみ対策について解説します。
VIO脱毛後に起こりやすい3つの肌トラブル
VIO脱毛の直後は、レーザーの熱による刺激で肌がとてもデリケートな状態です。そのため、普段よりも敏感になり、さまざまなトラブルが発生しやすくなります。特に注意したいのが、以下の3つのお悩みです1)。
- 乾燥とバリア機能の低下2)
- 黒ずみ(色素沈着)
- 毛嚢炎(もうのうえん)3)・埋もれ毛
脱毛後の肌は、レーザーの熱でバリア機能が一時的に弱まり、わずかな摩擦や刺激でも赤みやかゆみが出やすい状態になります。乾燥が続くとターンオーバーも乱れ、後の黒ずみの原因にもなります。
また、弱った毛穴に細菌が侵入して毛嚢炎を起こしたり、乾燥により皮膚が硬くなることで埋もれ毛ができてしまったりするのも、この時期によく見られるトラブルです。
脱毛後の保湿ケアのポイント
脱毛後の肌は水分量が低下し、デリケートな状態です。そこで大事なのが保湿ケアです。保湿ケアは、乾燥や赤みを防ぎ、健やかな状態を保ちます。
ここでは、保湿ケアのタイミング・アイテム選び・塗り方の3つのポイントを解説します。
保湿ケアを始めるベストタイミング
脱毛当日は、クリニックで処方された軟膏がある場合、指示に従いましょう。赤みやヒリヒリ感が落ち着いた翌日以降から、本格的に保湿ケアを始めます。保湿ケアのベストタイミングは、入浴や洗浄後で肌が清潔なときです。タオルで優しく水分を押さえたら、肌が乾ききる前に保湿剤を塗りましょう。
選ぶべき保湿剤の特徴
デリケートゾーンは顔以上に敏感なため、刺激の少ない専用アイテムを選びましょう。無香料・無着色・弱酸性のものが理想です。ヒアルロン酸は保湿力に優れた成分であり、肌の潤いを保つ効果が報告されています4)。
保湿剤の塗り方と注意点
保湿剤は手のひらで温めてから、デリケートゾーンを包み込むように優しく塗布します。ゴシゴシこするのは摩擦となり、黒ずみの原因になるため避けるようにしましょう。
脱毛後の黒ずみ対策
VIO脱毛後の黒ずみを改善・予防するためには、日々のスキンケアの工夫が欠かせません。デリケートゾーンは顔以上に皮膚が薄く敏感なため、ちょっとした摩擦や乾燥でも黒ずみにつながることがあります。ここでは、実際に取り入れやすい具体的な方法をご紹介します。
1.摩擦を減らす生活習慣
黒ずみを悪化させる最大の要因は摩擦です。締め付けの強い下着や化学繊維素材の衣類を避け、コットンなど肌に優しい素材を選ぶことがポイントです。 体を拭くときもこすらず、タオルで優しく押さえるように水分を吸収させましょう。
2.肌のターンオーバーを整える
肌の新陳代謝であるターンオーバーが正常に行われると、古い角質と共にメラニンも排出されやすくなります。十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、体の内側から健やかな肌サイクルをサポートしましょう。
3.美白有効成分を含むスキンケア製品を取り入れる
黒ずみの原因であるメラニンの働きを抑える成分5)を含んだスキンケア製品を検討してみましょう。特にデリケートゾーン専用のスキンケアアイテムは、刺激が少なく保湿効果も高いためおすすめです。ただし、脱毛後の肌は敏感であるため、まずは腕などの肌の強い部分で試してみて、異常がないことを確認してから使用しましょう。
専門医への受診が必要な目安
セルフケアを行っても改善しない場合や、以下の症状が見られる場合は、自己判断せず専門医に相談してください。
- 強いかゆみや痛みを伴う炎症が続く
- 赤みや腫れがなかなか引かない
- 膿が出る、出血を繰り返す
- 黒ずみが急に濃くなった
上記のような症状のある場合は、施術を受けたクリニック、または皮膚科や婦人科への受診をおすすめします。
まとめ
VIO脱毛後も健やかな肌を保ち、より快適に過ごすためには、施術後のアフターケアが大切です。VIO脱毛は、施術そのものだけでなく、その後のセルフケアを含めることで、より効果が持続します。毎日のケアでデリケートゾーンの肌環境を整え、自信の持てる健やかな肌を育てていきましょう。
監修

柴田綾子 先生
淀川キリスト教病院 医長
参考文献
1)大慈弥裕之.山田秀和.橋本一郎.吉村浩太郎.石河晃. ”CQ 5-1 脱毛目的にロングパルスアレキサ ンドライトレーザーは有効か?P66”.美容医療における合併症実態調査と診療指針の作成及び医療安全の確保に向けたシステム 構築への課題探索(20IA1011)美容医療の診療指針令和 3 年度版報告.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000975769.pdf.(2025-09-08)
2)Astrid Pany,Victoria Klang Marion Brunner,Johanna Ruthofer,Elisabeth Schwarz,Claudia Valenta.”Effect of Physical and Chemical Hair Removal Methods on Skin Barrier Function in vitro: Consequences for a Hydrophilic Model Permeant”.PubMed.2018 Oct 19.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30343288/.(2025-09-08)
3)Andrew Schuler,Jesse Veenstra,Alison Tisack.”Folliculitis Induced by Laser Hair Removal: Proposed Mechanism and Treatment”.PubMed.2020 May 1.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7380697/.(2025-09-08)
4)Buzzaccarini G, Marin L, Noventa M, Vitagliano A, Riva A, Dessole F, Capobianco G, Bordin L, Andrisani A, Ambrosini G.”Hyaluronic acid in vulvar and vaginal administration: evidence from a literature systematic review”.PubMed.2021 Mar 24.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33759670/.(2025-09-08)
5)Lawrence E,Syed HA,Al Aboud KM.” 炎症後色素沈着”. StatPearls.2024年11月25日.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK559150/.(2025-09-08)
執筆
看護師 河野奈美さん
