更年期障害とは?その症状や原因について解説

更年期

2025年6月27日

「急に顔が熱くなって、汗が止まらないことがある」 
「最近イライラしやすくなった」
などの症状で悩んだことはありませんか?

それは更年期障害の症状かもしれません。
本記事では、40~50歳代の女性が悩まされることの多い更年期障害について、解説していきます。

更年期障害とは?

更年期とは、閉経の前後5年間をあわせた10年間と定義されています1)。この時期には、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が、変動しながら減少していきます1)

このホルモンバランスの変化に伴い、さまざまな症状が現れることがあります。突然のほてりやめまい、気分の落ち込みなどです。これらの症状が特に重く、日常生活に支障を来すような状態を更年期障害といいます1)

更年期障害の症状

更年期障害の症状は、大きく身体症状と精神症状(こころの症状)に分かれます。

身体症状

更年期障害でみられる代表的な症状の一つが、ホットフラッシュです。ホットフラッシュとは、突然体が熱くなり、特に顔や首にほてりを感じる症状です2)。この際、大量の発汗や動悸がみられることもあります。仕事中や外出先で急に発生し、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

その他にも、次のような身体症状がみられることがあります。

  • めまい、頭痛
  • 倦怠感
  • 食欲不振、吐き気
  • 便秘、下痢
  • 肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み

精神症状

更年期障害では、身体の症状だけでなく、精神的な症状も現れることがあります。情緒が不安定になったり、以下の症状がみられたりします。

  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • イライラ感
  • 不眠

ただし、これらの身体症状や精神症状は、他の疾患でみられることもあります。このため更年期障害かなと思ったら、自己判断せず、医療機関に相談することが重要です。

更年期障害の原因

更年期障害の原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモン(エストロゲン)の減少といわれています。エストロゲンは、骨や血管の健康にも関わる重要なホルモンですが、更年期には分泌が不安定になり、波を描くようにゆらぎながら少なくなっていきます1)。このホルモンバランスの乱れが、さまざまな症状を引き起こすとされています。

更年期障害の治療法

更年期障害の治療は、まず生活習慣の改善が基本となります。栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることで症状が和らぐことがあります1)

それでも症状が改善しない場合は、減少した女性ホルモンを補充する方法1)3)4) や漢方薬による治療が行われます。また、不安や不眠に対する薬を使用することもあります1)4)

まとめ

更年期障害は、多くの女性が経験する大きな身体の変化の一つです。症状の程度には個人差がありますが、場合によっては日常生活に多大な影響を与えることもあります。しかし、適切な対策や治療を行うことで、症状の緩和や生活の質の向上が期待できます。症状が辛い場合は、一人で抱え込まず早めに医療機関を受診することが大切です。

監修

柴田綾子 先生
淀川キリスト教病院 医長

参考文献

1) 日本産科婦人科学会(2025年1月30日), 産科・婦人科の病気 更年期障害
https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/(検索日 2025年5月11日)

2) 「厚生労働省事業」東京大学産婦人科学講座監修(2024年1月19日), ホットフラッシュ, 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ
https://w-health.jp/climacterium_trouble/hot_flash/
(検索日 2025年5月12日)

3) Mayo Clinic staff, (April 18, 2025), Menopause hormone therapy: Is it right for you? , Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/menopause/in-depth/hormone-therapy/art-20046372
(検索日 2025年5月11日)

4) 日本女性医学学会.ホルモン補充療法ガイドブック
https://www.jmwh.jp/n-hrt_book.html