男性にも更年期障害があること、知っていましたか?

更年期

2025年7月15日

「更年期障害」と聞くと女性のイメージが強いですが、男性にも起こることをご存じですか?男性も年齢とともに男性ホルモンが減少し、心や体にさまざまな変化が現れることがあります。今回は、男性にも起こる更年期障害について、男女の違いに着目してご紹介します。

男性にも更年期障害はある!

「更年期障害」と聞くと、女性を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は男性にも「更年期障害」が存在します。男性の場合、30代以降は加齢とともに男性ホルモン・テストステロンが徐々に減少していきます。さらに、大きなストレスなどがあると急激にテストステロンが低下することもあります。
その結果、心や体にさまざまな変化が現れ、「やる気が出ない」「疲れやすい」「イライラや不安、うつっぽさ」「性欲の低下」「睡眠の質の悪化」などの症状を経験することがあるのです。発症するタイミングや症状の現れ方は人それぞれで、個人差が大きいとされています。

女性の更年期とどう違う?

女性の場合は、閉経の前後5年を境に女性ホルモン・エストロゲンが急激に減少するために更年期障害が起こり、心身に大きな変化が現れます。閉経後5年ほど経つと症状は落ち着く傾向にあります。
一方、男性の場合、テストステロンの減少は緩やかに進行するため、発症時期には大きな個人差があります。30代以降いつでも症状が現れる可能性があり、症状が続く期間も人それぞれです。

男性本人も気づいていない、言い出せない可能性がある

2022年時点の調査によると、男性の更年期障害は女性の更年期ほど広く知られていないようです。本人も周囲も変化に気づきにくく「ただの年のせい」と見過ごされたり、適切なケアが受けられなかったりすることも少なくないでしょう。
また、女性は体調や感情の変化を比較的オープンに話す一方で、男性は表に出さない傾向にある、という報告もあります。もしかすると、無意識に更年期障害による不調を抱え込んでいるかもしれません。

男女とも、お互いを理解し合おう

もしもパートナーや家族の様子が「最近、いつもと違う」と感じた時は、責めたり放っておいたりするのではなく「もしかして更年期の影響かも?」と見方を変えてみてください。
また、男性自身も「我慢せず相談していい」「これは自然な変化なんだ」と知ると、前向きに対処しやすくなるでしょう。「更年期には心身の状態が変化するものだ」と、お互いを理解し合えるといいですね。

まとめ

更年期は誰にでも訪れ、ホルモンバランスの変化によって性別を問わず心身に影響を及ぼすことがあります。症状が辛い時、または辛そうな時は、家族やパートナーと声をかけ合ってみてください。心身の不調を感じる時こそ、お互いを支え合いましょう。

監修

今井 伸 先⽣

今井伸 先⽣
SRHケアクリニック静岡 院長

参考文献

1) 日本内分泌学会.“男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)”.2024-12-10.
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=71,(参照2025-06-01)

2)厚生労働省.“「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年7月26日)“内閣府男女共同参画局.2022.2025-06.P16.
https://www.mhlw.go.jp/content/000969166.pdf,(参照2025-06-01)

3) 稲嶺麻希子,遠藤光男.感情の表情表出における状況と性別の効果─日本人大学生での検討─”. 感情心理学研究.2009,第17巻,第2号,134-142.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsre/17/2/17_2_134/_pdf

4)C M Gijsbers van Wijk et al.Gender differences in physical symptoms and illness behavior. A health diary study.Soc Sci Med.999 Oct;49(8):1061-74.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10475670/

執筆

臨床検査技師 佐々木祐子さん