そのつらい生理痛、もしかして月経困難症?原因と治療法をわかりやすく解説

月経

2025年7月1日

毎月やってくる生理のたび、お腹や腰が激しく痛み、つらい思いをしていませんか?日常生活に支障が出る程のつらい痛みは、単なる生理痛ではなく月経困難症かもしれません。ここでは、月経困難症がどのような病気なのか、その原因や治療法について、分かりやすく解説します。

月経困難症とは?

月経困難症とは、生理中に起こる強い下腹部の痛みや腰痛、吐き気、頭痛などの症状によって、日常生活に支障をきたす状態を指します1)。生理痛自体は珍しいことではありませんが、例えば仕事や学校を休んでしまうほど、あるいは痛みのために家事ができないほどの症状がある場合、月経困難症が疑われます。

月経困難症の二つのタイプ

月経困難症は、原因となる病気がない場合(機能性)と、病気がある場合(器質性)の2つに分けられます 2)

機能性月経困難症

機能性月経困難症とは、子宮や卵巣に明らかな病気がないにも関わらず、症状が起こるものを指します。生理中に分泌されるプロスタグランジンと呼ばれる物質が、月経困難症の症状を引き起こすと考えられています 1)2)

プロスタグランジンは子宮を収縮させ、生理による血液を体外に排出する働きがあります 2)。プロスタグランジンの量が多いと子宮の収縮が強くなるため、痛みが強くなるといわれています 1)2)

また、若い女性や出産経験のない女性の場合、子宮と膣をつなぐ子宮頸管がとても狭くて硬いため、生理の時の血流がスムーズに流出しにくく、生理痛が強くなることがあります。

器質性月経困難症

器質性(きしつせい)月経困難症は、子宮などの臓器に病変があり、これによって症状が引き起こされる場合をいいます。原因としては子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が挙げられます1)。ただの生理痛だから、と自己判断で我慢をしてしまうと、こういった病気を見つけられないままになってしまう可能性があります。

月経困難症の治療法

月経困難症の治療は、通常は痛みに対する治療が中心となります 2)。プロスタグランジンの働きを抑える痛み止めが効果的とされており 3)、これを服用して症状を和らげます。また、医師の判断によって、低用量ピルや黄体ホルモン製剤を使用することがあります。低用量ピルや黄体ホルモン製剤は、排卵をストップさせることで出血の量を減らし、痛みなどの症状を軽減させることができます 3)

ただし器質性月経困難症については、原因となっている病気の治療が必要になることもあります 1)2)。このため、生理中に下腹部の痛みや腰痛などが強く、日常生活に支障を来している場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

まとめ

月経困難症は多くの女性が抱える身近な問題ですが、そのために仕方のないことと考え、我慢をしてしまう方も多いのが現状です。適切な治療によって症状が和らぐ可能性があるため、決して我慢する必要はありません。また、背景に子宮内膜症などの病気が隠れている場合は、医療機関を受診することで早期発見につながります。つらい生理痛で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、早めに婦人科を受診し、相談するようにしましょう。

監修

丹羽 咲江 先⽣

丹羽咲江 先生
咲江レディスクリニック 院長

参考文献

1) 「厚生労働省事業」東京大学産婦人科学講座監修. “月経困難症”. 女性の健康推進室ヘルスケアラボ. 2024.
https://w-health.jp/monthly/dysmenorrhea/,(参照 2025-05-31)

2) 日本産婦人科医会. “安達知子先生の女性ヘルスケア講座 5.月経困難症”. 日本産婦人科医会.
https://www.jaog.or.jp/lecture/%e6%9c%88%e7%b5%8c%e5%9b%b0%e9%9b%a3%e7%97%87/,(参照 2025-05-31)

3) 「厚生労働省事業」東京大学産婦人科学講座. “生理痛(月経痛)”. 女性の健康推進室ヘルスケアラボ. 2024.
https://w-health.jp/monthly/algomenorrhea/,(参照 2025-05-31)