低用量ピルとは?OCとLEPの違いについても解説

月経

2025年5月30日

「ピル=避妊のクスリ」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、ピルの効果はそれだけではありません。適切に使うことで、生理にまつわる症状の改善や、生理日の移動、子宮内膜症の症状の改善などの効果も期待できます。

この記事では、低用量ピル(OC/LEP)についてわかりやすく解説していきます。

低用量ピル(OC/LEP)とは?

低用量ピルとは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれる製剤を言います。
日本では一般的に2種類に区別されます:

避妊が主たる目的で自費診療:
     (低用量)経口避妊薬(OC:Oral Contraceptives)

月経困難症の治療が主たる目的で保険適用:
    低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP:Low dose Estrogen Progestin)

OCとLEPの違い

経口避妊薬は1960年に米国食品医薬品局で承認された薬が起源であり、副作用を軽減するために含有するエストロゲンの量を減らしたものが、現在の(低用量)経口避妊薬(OC)です。

経口避妊薬はその名の通り「避妊」を主たる目的としていますが、避妊以外にも「生理痛の改善」「月経周期の安定化」「出血量の減少」という効果が報告されています。

使用する目的を「避妊」ではなく、月経困難症(生理痛)の治療をする保険適用薬として、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤が登場しました。1)
そのため、OCとLEPは、エストロゲンの量とプロゲスチンの種類には違いがありますが、効果はほとんど同じになります。

低用量ピルの作用の仕組み

エストロゲンとプロゲスチンを含む低用量ピルを飲むと、脳が「すでに女性ホルモンが十分に分泌されている」と思い、脳から卵巣へのホルモン分泌の指示を出さなくなります。それによって、以下のような作用があります。

・卵巣が休止状態になり排卵が抑制される
・子宮内膜が薄くなる
・子宮内の粘液が変化し、精子が入りにくくなる

これらの作用により避妊や月経のコントロールが可能になります。

低用量ピルの効果と注意点

低用量ピルが、生理に悩む女性の身体にとってもたらすメリットはとても大きいですが、知っておくべきデメリットも存在します。2)

メリット

・避妊効果
・経血量が減る
・月経周期が安定化する
・子宮内膜症の症状改善
・肌荒れ改善等

デメリット

・血栓症のリスク
・吐き気、不正出血、頭痛などの副作用
・長期服用で子宮頸がん、乳がんのリスクがわずかに上がる可能性がある等

中には年齢・喫煙歴・持病などにより、低用量ピルを飲むことができない方もいます。

まとめ

低用量ピルには、自費のピル(OC)と保険適用のピル(LEP)があります。OC、LEPの中にも、それぞれ複数の種類のピルがあり、個人個人の症状や悩みに合わせて処方します。ピルによるデメリットもありますが、生理の症状をやわらげ、確実な避妊ができる大変有効な薬でもあります。生理に関する悩みや避妊を考えている方は、婦人科で一度ご相談ください。

監修

柴田綾子 先生
淀川キリスト教病院 医長

参考文献

1) リプロヘルス情報センター.“ピル50年史”.m3.com学会研究会.
  http://rhic.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=4368 (参照2025-05-20)
2) 日本産科婦人科学会/日本女性医学学会.OC・LEPガイドライン2020年度版