一般不妊治療とは?3つの治療法をわかりやすく解説

妊娠・出産

2025年7月8日

妊娠を望む方々にとって、不妊治療にはさまざまな選択肢があります。ここでは、一般不妊治療がどのようなもので、具体的にどういった方法があるのかを、分かりやすく解説します。ご自身やパートナーの方が抱える疑問を解消し、安心して治療に臨むための一助となれば幸いです。

不妊治療とは?

妊娠を希望する男女が、避妊せずに性生活を送っていたにも関わらず、1年間妊娠に至らない場合を不妊症といいます1)。不妊治療とは、不妊症の原因に応じて医療的な介入を行うもので、大きく一般不妊治療と生殖補助医療に分類されます。ここでは、一般不妊治療について詳しく解説していきます。

一般不妊治療とは?

一般不妊治療とは、不妊治療のうち、体内での妊娠を助ける治療法を指します。具体的には以下のような方法が挙げられます。

  • タイミング法
  • 排卵誘発法
  • 人工授精

一般的には、タイミング法から始まり、排卵誘発法、人工授精というように、段階的に治療が進んでいくステップアップ方式がとられます1)。ただし、この流れはすべての方に当てはまるわけではなく、不妊症の原因や年齢、これまでにかかった病気などを考慮して、最適な方法が検討されます。

それでは、一般不妊治療についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

タイミング法

タイミング法とは、最も妊娠しやすいとされる排卵日の直前、具体的には排卵日の1~2日前から排卵日当日に、性交のタイミングを合わせる治療法です1)
排卵日の予測には基礎体温をつけたり、卵巣内の卵胞(らんぽう)と呼ばれる、卵子が入っている袋の大きさを超音波検査で調べたりします。また、尿検査で排卵を促すホルモンを補助的に調べることもあります2)

排卵誘発法

排卵誘発法とは、飲み薬や注射薬で排卵を促す治療法です。通常は排卵のない方や排卵が起こりにくい方に行われますが、タイミング法や人工授精の成功率を上げる目的で行われることがあります1)3)

人工授精

人工授精とは、パートナーの精子を、排卵の時期に合わせて子宮内に注入する治療法です1)。具体的には、採取した精液から運動の良好な精子を集め、細いチューブを使用して直接子宮内に注入します2)

人工授精を含む一部不妊治療は2022年4月から保険適用となったため3)、以前に比べて経済的なハードルも大きく下がり、より多くの方が選びやすくなりました。

まとめ

一般不妊治療は、不妊治療の中ではじめに検討されることが多い治療法です。さまざまな選択肢があり、それぞれの状況に合わせて、最適な方法が選択されます。2022年からは一部の不妊治療が保険適用となり経済的なハードルが下がりましたが、不妊治療の負担は経済的なことだけではなく、身体的・精神的な負担も少なくありません。心身のケアを大切にしながら、医療従事者と協力して進めていくことが大切です。不安な点や、気になることがあれば、遠慮せずに医療機関に相談するようにしましょう。

監修

柴田綾子 先生
淀川キリスト教病院 医長

参考文献

1) 日本産科婦人科学会. “不妊症”. 日本産科婦人科学会. 2025.
https://www.jsog.or.jp/citizen/5718/,(参照 2025-5-30)

2) 日本生殖医学会. “生殖医療Q&A 治療 Q8. 不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?”. 日本生殖医学会.
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa08.html,(参照 2025-5-30)

3) 内閣府政府広報室. “不妊治療、社会全体で理解を深めましょう”. 政府広報オンライン. 2023.
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202309/2.html,(参照 2025-5-30)