ED(勃起障害)は「性交時に有効な勃起が得られず満足な性行為ができない状態」を意味します。実は、EDの一因として、肥満や喫煙、高血圧、糖尿病といった生活習慣や疾患がEDの一因となることをご存じでしょうか。本記事では、EDの原因となりやすい状態や、EDをどのように治療していくのかを解説します。
そもそもEDとはどのような状態?
EDとは、国際的に「満足な性行為を行うのに十分な勃起を得られないか、または維持できない状態が、持続的または再発すること」と定義されている症状です1)。一度や二度の失敗を指すのではなく、継続的に起こる状態がEDと診断されます。
EDの重症度は、IIEF5と呼ばれる診断でセルフチェックが可能です2)。
- 重症:5~7点
- 中等症:8~11点
- 軽症~中等症:12~16点
- 軽症:17~21点
- EDなし:22~25点
IIEF5では過去6か月間の性機能について自己評価することで、EDの重症度を客観的に把握できます。
EDの原因になり得る生活習慣や疾患
EDの主な原因には、「血管」の問題が潜んでいると考えられています。特に、血管の内側を覆う「血管内皮」の機能低下や陰茎への血流障害などは、日々の生活習慣や特定の疾患によって引き起こされる場合があります 1)。
不健康な生活習慣は血管にダメージを与え、EDを引き起こすリスクが少なくありません。たとえば、以下のような男性はEDリスクがあると報告されています。
- BMIが30kg/m²以上の重度肥満男性はEDを発症するリスクが1.7倍高い1)
- 喫煙者の男性はEDリスクが非喫煙者より約1.5~2倍高まる可能性がある1)
- 糖尿病や高血圧、心血管疾患などの疾患を抱えている男性もEDリスクが高い1)
ただし身体的な問題だけでなく、心理的な要因もEDの原因となります。特に若い世代では、仕事のストレスや不安、うつ病などが引き金となることも少なくありません3)。
具体的なEDの治療方法
ED治療では、医師と患者が情報や希望を共有し、共に治療方針を決めていきます。
まず改善の第一歩として最も重要なのが、生活習慣の見直しです1)。研究では、メタボリックシンドロームに合併した ED患者が治療薬と並行して週 3 回、1回 30 分の有酸素運動を行った場合において、勃起機能の改善が報告されています1)。ウォーキングのような有酸素運動や、禁煙、健康的な食事を心がけることは、科学的根拠のある有効な治療法と言えるでしょう1)。
EDの代表的な治療には、PDE5阻害薬の服用があります。PDE5阻害薬は、性的興奮があった際に、陰茎への血流を増やして勃起をサポートする薬です4)。バイアグラをはじめとした3種類の治療薬があり、それぞれ効果の持続時間などが異なるのが特徴です。そのため、ライフスタイルに合わせて医師と相談して選択する必要があります。
薬物療法で効果がない場合でも、陰圧式勃起補助具や外科的治療などさまざまな治療法があるため、まずは専門医に相談することが重要です1)。
まとめ
EDは特定の年代だけの問題ではなく、20代、30代の若者でも高い有病率が報告されており、誰にでも起こりうる健康課題です5)。EDの原因の多くは肥満や喫煙といった生活習慣にあり、これらを見直すこと自体が最も効果的な治療法となり得ます。
EDは決して恥ずかしいことではなく、適切な治療により改善できる健康課題です。症状に心当たりのある方は、一人で悩まず専門医に相談しましょう。それは性生活の質を向上させるだけでなく、将来の健康リスク管理にもつながる、前向きな一歩となるはずです。
監修

宮本亜希子 先生
BIANCA CLINIC 女性医療クリニックLUNA スワンクリニック銀座
参考文献
1)日本性機能学会/日本泌尿器科学会 . “ED診療ガイドライン第3版” . 日本泌尿器科学会 . 2018 .
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/26_ed_v3.pdf .
2)鳥取大学医学部泌尿器科 . “ED(勃起障害)” . 鳥取大学医学部泌尿器科 .
https://www.med.tottori-u.ac.jp/urology/introduction/about/ryosei/ed.html , (参照 2025-07-08).
3)東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター . “勃起障害(ED)” . 東邦大学医療センター大森病院 .
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/erectile_disorder.html , (参照 2025-07-08).
4)東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター . “ED治療薬の比較” . 東邦大学医療センター大森病院 .
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/comparison.html , (参照 2025-07-08).
5)一般社団法人日本性機能学会 . “25年ぶりの全国調査で日本人男性の性機能が明らかに” . アットプレス . 2024年7月8日 .
https://www.atpress.ne.jp/news/400999 , (参照 2025-07-08).
執筆
薬機法&医療広告ガイドライン対応ライター 芹澤美咲さん